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2015年5月 8日 (金)

素人が芦部信喜「憲法」を読んでみた (3) 人権と立憲主義の歴史

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Mokuji_4
目次

第一部 総論 > 第一章 憲法と立憲主義

二 憲法の意味

2. 立憲的憲法の特色

(一) 淵源

ここでは、立憲主義の発生と簡単な歴史が述べられる。
立憲主義と人権は密接な関係にあるので、第五章 基本的人権の原理 一 人権宣言の歴史 の内容も先取りして、合わせて大まかな歴史を押さえてみる。Rekishi_2

立憲主義の淵源・人権宣言の萌芽

思想史的には中世に遡る。

(絶対的な権力を持つ)国王といえども従わなければならない高次の法(higher law)があると考えられ、根本法(fundamental law)とも呼ばれた。

(第五版 p.5)。ただし、貴族の特権の擁護を内容とする封建的なもので、人民の自由・権利を保障したものではない。

考察

当然のことながら、完全に君主がすべてを支配する絶対君主であった場合は、立憲的意味のものは無い。

人権宣言としては、イギリスが最も早く登場。人権の萌芽ではあるが、「人権」というよりは「国民権」。近代人権史における前史。

  • 1215 マグナカルタ
  • 1628 権利請願
  • 1689 権利章典

自然権の思想

ロック(John Locke, 1632-1704)、ルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712-78) などの説いた近代自然法ないし自然権(natural rights)、社会契約の理論。

  1. 人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、生来の権利(自然権)を持っている。
  2. その自然権を確実なものとするために社会契約(social contract)を結び、政府に権力の行使を委任する。
  3. 政府が権力を恣意的に行使して人民の権利を不当に制限する場合には、人民は政府に抵抗する権利を有する。

考察

自然権、というものの詳しい内容までは分からないが。とにかく、人間が生まれながらに持っている、ということは、法というものが制定される前の、それこそ原始時代からあったものであって、それを法によって実定化したもの、と考えられる。ただし、この権利は侵害可能であることは明らか。侵害不可能であれば、そもそも法で規制する必要がないのだから。ただ、人権は侵害されても潜在的にはなくなるものではなく、人権侵害という犯罪が可能である、というだけなのだろう。

また、自然権というからには、人が「こういう権利が欲しい」と感じるものがすべて人権とみなされるわけではないことになる。こういう権利が欲しい、となったとき、それが生まれながらに人間が持っている権利とみなせるか否かは吟味が必要となる。つまり、人権というのは人為的に恣意的に定めるものではなく、もともとあったものを法学が「発見」しつつある(全貌はまだ分からない)という発想だ。だから、人権リストが単純に増加する、というわけではない。もし、ある人権と見なされていた権利が、やはりこれは生まれながらの権利と言うのには無理がありすぎる、とされれば、人権リストから外されなければならないだろう。逆に、今まで発見されていなかった人権が将来発見されてリストに追加されることもあり得る。社会情勢によって、何を人権とみなすべきかも変わってくるだろう。

ところで、抵抗権は憲法に書かれていない。成文法ではない。だから「抵抗権は憲法に保証されている」と言うわけにはいかない。

市民革命・人権宣言の誕生

  • 1776-89 アメリカ諸州の憲法
  • 1788 アメリカ合衆国憲法
  • 1789 フランス人権宣言
  • 1791 フランス第一共和制憲法

など。

フランス人権宣言 第16条

権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない。

十八世紀末の近代市民革命とともに、はじめて近代的な人権宣言が誕生する(第五版 p.76)。考察: 近代的な立憲主義もこのときに誕生した、と考えるのが筋だろう。

人権を生来の前国家的な自然権として宣言し、保障。

ヴァージニア憲法 1条

すべての人は、生来ひとしく自由かつ独立しており、一定の生来の権利を有するものである。これらの権利は、人民が社会を組織するに当たり、いかなる契約によっても、その子孫からこれを奪うことのできないものである。

フランス人権宣言 第1章

人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、設けられない。

コメントとして、アメリカの人権宣言とフランスの人権宣言との違いについても触れられている(第五版 p.77)。素人なので深入りはしないが。

人権宣言の普及---自然権としての人権観念の衰退

外見的人権: ヨーロッパ諸国に人権宣言を含む近代立憲主義の憲法。19世紀から20世紀前半では「国民」の権利を保障するものが多く、自然権的な人権の観念は必ずしも採用されなかった(第五版 .p.77)。

「人権」から「国民権」へ衰退

立憲主義に関しても、名目的憲法であって、法律により、人民の権利や権力の制限が行われるに過ぎなかった。大日本帝国憲法でも、これにならっているので、立憲君主制の形はとっているが、法律による留保 が伴った(各権利は法律に定める範囲で認められたので、法律により制限可能だった)。

衰退した理由(第五版 p.77)

  1. 合理主義、社会主義の思想が発達して、18世紀の自然法思想にとってかわった
  2. 議会制が確立し、議会(法律)による権利の保障という考えが有力になった
  3. 法学の対象を実定法に限定し、自然法的なもの政治的なものを排除し、実定法の論理的解明のみを法学の任務と考える法実証主義(legal oisitivism)が広まったこと

考察

まあ、自然権のような考え方は、法の根拠を法学の外に求めるようなものだから、そりゃ当然、扱いが難しいよな

第二次世界大戦

ナチズム・ファシズムの悲劇

人権宣言の普及---戦後の発達

初期の人権思想が見直される。

外見的人権 ⇒ 人間が人間であることに基づいて論理必然的に享有する権利としての人権

考察: 法学が実定法のみで自己完結するわけには行かなくなった、ということか?

人権:

「法律による」保障 ⇒ 「法律からの」保障、「国家からの」自由

人権は法律によっても侵されてはならない

立憲主義の大きな変化: 立法権に対する信頼による伝統的な立憲主義に代わり、 人権の「法律からの」保障 という考え方に変化した。(追記:日本国憲法の成立を考えると、この時点ではじめて「法律からの保障」という考え方が出来た、というのは読み間違い。アメリカにはすでに憲法による人権の保障があった筈。ざっと検索してみるとhttp://www.itojuku.co.jp/sch_cyuo/pdf/0826A001-BSY.pdf アメリカは独立当初から憲法による保障だったが、ヨーロッパ諸国では法律による保障だった。戦後ヨーロッパ諸国でも憲法による保障に変わったようだ。)

考察

こうしてみると、「憲法は法律ではない」、という立憲主義の原理は、ナチズムの悲劇を二度と繰り返してはならない、という考え方から出てきたことがわかる。(追記: この考察は間違い。前からあった。戦後、重要視されたかもしれないが、人権宣言でこの考え方はある)ヒトラーのやったことの本質は「民主主義的憲法の下で、(少なくとも形式的には)民主主義的手続きで、独裁制を成立させた」こと。

 世界はナチズムの手口に学び、それを克服する答えのひとつが、憲法は法律ではない、という原理と考えられる。ある意味、アメリカは日本に「この国にヒトラーみたいな奴を出すんじゃねえぞ!」と憲法を押し付けた、とも見ることもできる(それだけではないが)。どうやら、ナチズムの手口を最も学んでいないのは日本かもしれない。

この原理を覆すことは、ナチズムの悲劇を繰り返す可能性(最悪の場合、第三次世界大戦を引き起こす可能性)が出ること。

人権宣言の社会化

19世紀: 自由権を中心 「国家から」の自由・保障

20世紀以降: 社会権をも保障する社会国家的人権宣言 「国家による」自由・保障

人権の国際化

人権を国内法的に保障するだけではなく、国際的にも保障。

国家憲法による保障国際的な保障

これも、第二次世界大戦の悲劇を繰り返さないための智慧のひとつとも見なせる。

それにしても

基本的人権の原理や立憲主義の基本的な仕組みは、中学校あたりで必須科目となってなければおかしいな。細かいところはともかく、基本的な仕組みは充分中学生でも理解できる内容だし。

これは、法学を全く知らない素人が、芦部信喜他「憲法」(第五版) (憲法関係だけでなく、法学全般で持っている参考書が基本的にこの本だけ。六法全書も持っていない)を読んで考えたことが記されています。

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